はじめに
音楽を聴いて心が動かされる瞬間は、多くの人が経験します。
感覚的な出来事のように思えますが、近年の神経科学の研究により、その背景には明確な脳の働きがあることがわかってきました。
音楽と脳
好きな音楽を聴くとき、脳内ではドーパミンが放出され、報酬系(快感や動機づけに関わる神経回路)が活性化します。
これは美味しいものを食べたときや達成感を得たときと同じ生理的反応。
音楽を聴くと、快感やワクワク感を生むドーパミンだけでなく、気分を安定させるセロトニンや、安心感・つながりに関わるオキシトシン、多幸感をもたらすエンドルフィンなど、複数の脳内伝達物質が関わります。
感情への作用
音楽は感情をつかさどる「大脳辺縁系」(情動に関わる領域)という脳の領域にダイレクトに届くため、言葉よりも先に心を動かします。
医療の分野では、音楽療法がうつ病や不安障害などの補助的治療として活用されています。
脳科学者の中野信子さんも、悲しいときには無理に明るい音楽を聴くより、悲しい気持ちに寄り添う音楽を聴いたほうがよいと語っています。
自律神経系との関係
ストレスを軽減とリラックス効果
音楽は、自律神経系にも影響を与えることが報告されています。
ゆったりとしたテンポや心地よいメロディーの音楽を聴くと、呼吸が深くなり、心拍や血圧が自然と落ち着いていきます。
人との繋がり
音楽は、一緒に歌ったり聴いたりすることで場の空気を共有し、言葉がなくても人と心を通わせ、一体感やつながりを生み出します。
まとめ
音楽は感覚的な楽しみであると同時に、脳や身体のしくみを通して心に作用する存在です。
「心が動く」のは偶然ではなく、科学的に説明できる自然な反応といえます。
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